2012年5月10日木曜日

日本人らしさ


日本酒は世界的に見てもまれな醸造方法によって造られます。
それは「並行複醗酵」という醸造方法です。
アルコールは糖分を醗酵させて造られます。
ワインなどはもともとと原料が糖分を持っていますので、そのまま酵母を添加すれば「アルコール発酵」が起こります。これを「単醗酵」といいます。
ビールはというと、原料は麦。麦はもともと糖分を持っていませんので、発芽をさせます。
「麦芽」という言葉をお聞きになったことがあると思いますが、発芽をさせることによって糖分が生成されるのです。
この「糖化」という行程と「アルコール発酵」という行程を別々の場所で行うのでこれを「単行複醗酵」といいます。

さて日本酒ですが、これまた原料の米には糖分がありません。
この場合はどうなるのかというと、最初に述べたように、日本酒は「並行複醗酵」と言う方法で造られます。
「複発酵」は、「糖化」と「アルコール発酵」の二回の工程があるお酒です。
それに加え、「並行」とは何かと言うと、その「糖化」と「アルコール発酵」を同じタンクで同時にやってしまおうということなんです。

アルコールを造る、「酵母」というものは「糖分」をえさにして生きています。
しかし糖分がたくさんあるときは「糖化」の作業を辞めてしまうのです。
ということは「単行」(糖化とアルコール発酵を別に行うこと。)の工程だと一回目の「糖化」は自然と止まってしまいます。
そしてアルコール発酵とやってもせいぜい10%ぐらいのアルコールしか造ることが出来ないのです。
それに比べ、「並行」の発酵をさせると、「糖化」でできた「糖分」を「アルコール発酵」で消費します。
そうすると止まっていた「糖化」がまた始まるのです。
また「糖分」が増えると「アルコール発酵」が行われ、アルコールが増える連鎖ができるのです。
しかし酵母はアルコールの中では生きてはいけません。
アルコール20%ぐらいまで上がると酵母は活動を停止します。
これを「完全発酵」と呼びます。
と、いうことで日本酒は醸造酒の中で世界一アルコール度数の高いお酒なのです。
ですが、その管理が難しい。まさに高い醸造技術が必要なんです。

これがまた日本人らしい。
さすが世界一の技術大国、日本。
その技術があってなせる「技」なんですねぇ。

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