2009年7月9日木曜日

空気が張りつめます。

一雨ごとに暑くなっていくこの季節、酒蔵で行われる行事があります。
それは「呑切り(のみきり)」というものです。
「呑切り」とは、タンク内で貯蔵中の清酒を、呑口(のみぐち)を切って(開けて)、健全に貯蔵されているかを分析したり、熟成度合い、味、色の変化を調べたりすることを言います。
伝統的な酒蔵行事であり、ホタル飛び交う初夏にかけて第一回の呑切りを行なうのが一般的で、この一回目の呑切りのことを「初呑切り」といいます。
また、呑を切った酒を片口(カタクチ)という器に入れ、蔵元社長や関係者たちが、ピンと張り詰めた緊張感の中で香りの吟味をするのです。
タンクの呑口を切って酒が出る瞬間の香りを切り鼻(きりばな)といい、貯蔵してから杜氏が初めて新酒に対面する時でもあるのです。
杜氏が真剣な目で呑を切った瞬間、香りをかぎ「ヨシ!」の声。
緊張が一瞬和らぎます。
これは、呑切りをする緊張の一瞬の一コマなのですが、こういった酒蔵の伝統的な儀式というのは、独特の緊張感があるもので、何か神聖なものを感じます。
精魂込めるというのはまさに日本酒造りにも当てはまり、その節目節目となる瞬間が、俗世間とは一線を画した世界となるのです。
職人さんの世界というのは、こういったことは多々あると思うのですが、普通に生活していたのではなかなか経験できない世界であることにちがいはありません。 
呑切りしたお酒は蔵元一同が利き酒をし、分析を経て、今後の貯蔵、出荷の判断とします。
酒造りと同様、貯蔵も重要な管理なのです。
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