2013年9月5日木曜日

秋の味覚に舌鼓

秋の旬のお酒といえば、やっぱり「ひやおろし」。
「ひやおろし」とはどんなお酒かと言いますと、春先にしぼられた新酒は、一度、火入れされたあと、暑い夏の間をひんやりとした蔵で眠ってすごし、熟成を深めます。
やがて秋風が吹き始めたら、いよいよ目覚めのとき。ほどよく熟成されたお酒は、二度目の火入れをせずに(通常は火入れという低温加熱殺菌処理を二度行います)、生詰めして出荷されます。
その昔、「冷や」のまま貯蔵用の大桶から木樽に「移(おろ)して」樽詰めしたことから、このお酒は「冷移(ひやおろし)」と呼ばれ、秋の酒として珍重されてきました。

昔から「秋酒をもって最上の酒とす」ということが言われています。江戸時代までの秋酒は、醸造技術や保存管理が未発達だったため、その年の米で造った新酒が、一番とされていました。俳句の世界で「新酒」が秋の季語であるゆえんです。

時代は移って今、秋に出るお酒は、昨秋に稔ったお米で昨冬に造ったもの。
しかしながら「秋酒をもって最上の酒とす」という言葉は、健在。

日本酒は一年をかけて熟成していきますが、特に暑い盛りの夏を越えると、大変身。気温の高い夏には急速に熟成が進み、味わいが大きく変化します。
旨みが増して、まろみを帯びて、もっともバランスのよい状態になるのです。
その熟成の旨みを、もっともよく伝えてくれるのが、生詰めのまま出荷される〈ひやおろし〉。
穏やかで落ち着いた香りと、濃醇な味わいが特徴です。
まさに円熟の味わい。
旨みののった秋の味覚とも、相性ばつぐんの美味しさです。

「ひやおろし」が飲みたくなったらこちら

0 件のコメント:

コメントを投稿