2013年11月1日金曜日

コッソリと造られます。

般若湯という言葉を聞いたことはありますか?

般若湯というのは、お坊さんたち用いた酒の隠語です。
「般若」とは梵語(サンスクリット語)で、智慧とか真理という意味になります。
お坊さんは公然とお酒を飲むわけにはいかないため、意味ありげな隠語を使って世間の目をごまかしたのだそうです。
真言宗の総本山である高野山金剛峯寺で使われたのが最初という説もありますが、いつ頃から使われ始めたのかということも含めて、真偽のほどは不明なのだそうです。
いうまでもなく寺院の戒律は厳しく、本来、飲酒は御法度のはずであります。
禅寺の門脇にある戒壇石などには、「葷酒山門に入るを許さず」と刻まれています。
葷酒とは、ネギやニラなどの臭気のある野菜とお酒のことで、清浄な寺門の中に修行の妨げとなる葷酒を持ち込む事はもとより、それらを口にしたものが入ることも許さないという厳しい掟です。
ところが、実際には鎌倉から室町かけての中世、お酒は寺院と密接な関係にありました。武家政権の時代に入り、それまで宮廷中心だった酒造りの技術が民間に流出し始めるのですが、とりわけ寺院は、その後の酒造技術の発展に画期的役割を果たすことになるのです。
この時代に寺院で作られたお酒は「僧坊酒」と呼ばれていました。

僧坊酒はそれまでの一段仕込みから脱却して*二段仕込みの方法を編み出すといった、現代の日本酒にかなり近づいたものになったようです。

ワインやビールもそうなのですが、お坊さんや修道院の人たちが醸造に携わっているという事実は世界中で見受けられます。それを収入としていたという場合もあるようですが、アルコールに対する欲求?探究心?戒律が厳しいだけにその反動も大きかったのでしょうか?

 * 現在の酒造りでは「三段仕込み」という方法でお酒が造られます。三段仕込みとは、あらかじめ造っておいた酒母に、麹、水、蒸米をそれぞれ、初添え、仲添え、留添えと3回に分けて、だんだんに仕込み量を増やして仕込んでいく方法です。二段仕込みとはこの段仕込みの回数が2回であるという事になります。


般若湯は販売しておりませんが...
当店のホームページはこちら


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