2014年4月21日月曜日

もやし?

日本酒造りで用いる麹は、蒸した米に麹カビを大量に生やしたもの(米麹)ですが、そのための麹カビを培養し、保存できるように乾燥させたものを「種麹(たねこうじ)」と言います。
麹を造るときに、これを文字通り「種(たね)」として蒸米に加えることからこの名があるのです。
酒造業界では「もやし」と呼ぶこともあります。

さてその種麹の製造工程はというと、精米ずわいが96〜98%程度の低精白米を浸漬して蒸した後、木灰を加えて30℃ほどに冷まします。この蒸米に黄麹カビの胞子を種付けして28〜35℃に保温した培養室で1
週間ほど培養し、米の表面に十分に胞子を着生させます。
これを乾燥させたものが種麹となるのです。

空気中には黄麹カビだけでなく、さまざまな微生物が浮遊していて、多いところでは1㎥あたり10万個もの微生物細胞があるといわれています。
したがって、蒸した米を放置しておけばカビは生えるのですが、それは黄麹カビばかりではなく、他のカビや腐敗菌、その他雑菌なども付着して繁殖するはずで、もちろんそんな麹を使っても良いお酒はできません。
では、良質の黄麹カビをできるだけ純粋に培養するにはどうしたらよいのでしょうか。そこで発明されたのが木灰を利用する方法だったのでした。

黄麹カビは木灰のアルカリ性に対して強い抵抗力を持つのですが、ほとんどの雑菌は抵抗力がなく死滅してしまいます。つまり、木灰は多くの雑菌の殺菌剤の役割を果たすわけなのです。しかも、木灰に含まれるカリウムやリンなどのミネラル成分は、黄麹カビにとっては格好の無機栄養源であり、著しく増殖を、手助けするだけではなく、胞子自体の耐久性も増すため、種麹としての保存性も向上するというのです。

種麹製造用の木灰は、ツバキ、ナラ、クヌギ、カシなどの堅木の葉を蒸し焼きにしたもので、昔からツバキの灰が最良といわれているそうです。

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