2009年5月14日木曜日

似ているようですが…

同じようなお米に見えますが、酒米と一般に食べられている食用米とは一体どんな違いがあるのでしょうか。
酒造りに適した米とは、一体どのような特徴を持つ米のことを指すのでしょうか。
以下のことが挙げられます。

・大粒、軟質である
・浸漬において吸水性がよい
・蒸米が「外硬内軟(がいこうないなん)」となり、
手触りに弾力がある
・ 麹菌の破精(はぜ)込み(お米の中への麹菌の入り具合のこと)がよい(写真)
・酒母や醪中で溶解性、糖化性がよい
・タンパク質が少ない(出来上がりの酒はスッキリとした味わいになる)

以上のような特徴を持つ酒造好適米は一般には「酒米」と呼ばれるのです。
米粒の中央部分に不透明な心白部分を持つ大粒の心白米(米粒の中心に不透明な部分を持つ大粒米。心白部はデンプン粒が粗で軟らかく麹菌の繁殖に適する)で、ご飯として食べている一般米より一回り大きく、精米から醪造りに至る各工程において適性を持っています。
この心白と呼ばれる部分はなぜ不透明かというと、デンプンの粒子が粗く詰まっており、細かい空気の層があるからです。その空気の層に麹菌が破精込んでゆくのです。
食米にはこのような心白は無く、麹菌が入り込んでいきにくいため、酒米よりは酒造りに向かないのです。(左写真)
見た目は同じでも中身は全然違うのです。

心白米

左の写真は、食用米でつくられた米麹。
右の写真は、酒米でつくられた米麹。
左の写真のように白いモヤモヤ(麹菌)がお米の中の方まで入っている(破精込んでいる)のがわかると思います。

2009年5月4日月曜日

ウソ?ホント?

味覚分布図のコピー
「味は舌にある味蕾と言う器官で感知し、苦み・酸味・甘み・塩味は別々に感じ取るそれぞれがある。このそれぞれの味蕾は、分布地点が味覚分布図で示すように、おおよそ、決まっている。」
こんな内容を、昔、学校で習った覚えがあります。しかし、分布にはそれほど偏りがないようで、現在、専門家の間では間違いであると言われているようです。
また、みらい味蕾は舌だけでなく、上顎やノドの方にもあるようです。ただし、苦み=毒・酸味=腐ったモノというように人間にとって有害なモノは体内に取り込まないように、それを感知する味蕾は若干舌の奥の方に多いそうです。また、感受性の優先順位があり伝達スピードや解析スピードが速く危険なモノを避けられるシステムが備わっているのだそうです。よって、味覚分布図に示されたように舌先だけで甘みを感じるとか、奥だけで苦みを感じている訳ではないということなのです。
また、辛み・渋みなどはそれぞれ専用の味蕾があるわけではなく、他の味蕾の刺激と複合して痛覚の刺激やイオン?の刺激を感じる事によって取り入れられるということなのです。
実際のところ、きき酒師の勉強などにもこの「舌の味覚分布図」が登場しており、ワイングラスや酒器など、この味覚分布図をもとに作られたもの多いのも事実です。
ではなぜこのような間違いが起こってしまったのでしょうか?1901年にでたドイツ語文献を英訳する時の翻訳ミスが起源であるとされているようです。しかし、元のドイツ語論文自体、かなりあやふやな事実が針小棒大に書かれたとされています。
世の中には、この「味覚分布図」のように謝って常識となっていることはたくさんあるんでしょうねぇ。