2014年1月13日月曜日

ハレの日の飲み物

日本で酒造りが始まったのは、縄文時代以降~弥生時代にかけての事です。大陸から稲作が渡来した後、九州や近畿地方で行われていたと考えられています。
大和時代(4~6世紀)に、酒造りは徐々に国内に広まっていきました。奈良時代(710~794年)に現在の酒造りのもとになる醸造法が中国から伝わり、平安時代には色々なタイプの酒が造られるようになったようです。
しかしこの時代、酒は宗教的な儀式に用いられたり、慶事や祝い事(ハレの日)に飲む事がほとんどで、頻繁に庶民の口に入ることはありませんでした。
鎌倉時代になり、それまで朝廷の機関でしか行われていなかった酒造りが寺院・神社で行われるようになりました。
その当時、寺院には民衆からの年貢米が納められていました。更に酒造りに必要な湧き水・井戸水、広いスペースもあり、その上、寺社にはたくさんの労働力や明晰な頭脳を持った僧侶達がいました。
僧侶達はこのような酒造りに格好の条件を生かして醸造技術を磨いていたと考えられています。
当時、人々の生活に密接していた寺院・神社で酒が振舞われ、人々はハレの日以外にも酒を飲むようになりました。
江戸時代に入ると酒を造って売る酒屋が出現するようになりました。
各地に造り酒屋が登場したことで酒が商品として流通するようになり、一般庶民でも簡単に酒が手に入るようになりました。
人生の慶事に日本酒はなくてはならないものですが、それもそのはず、もともとお酒は御神酒というように、神にまつられたもので、やがて祭りのような儀式で人々に飲まれるようになったのです。
祭りというハレの場で日常の労働や束縛から開放され日本酒を飲むことで、特別の日を祝うとともに、また新たな明日への活力を生み出すようになっていったのです。

ハレの日の贈り物ならこんなお酒

2014年1月11日土曜日

かすであっても、カスではない?

酒粕は、もろみを圧搾して清酒を分離したときに残る固形物のことで単に粕ともいいます。
またきれいな板状になっているものは「板粕」、形の崩れたものは「バラ粕」とか「粉粕」と呼ばれます。一般に家庭用として出回っているものは板粕で、形よく取り出すのに手間がかかるため、バラ粕に比べて価格が高いようです。
酒粕は、もろみの中で溶けきれなかった米粒や米麹、酵母、それに清酒成分を含んでいるため、栄養価は高く、アルコール分も8パーセント程度あります。
そのまんま火あぶって食べたり、粕汁や速成の甘酒にも利用されます。お酒を飲めない人には、結構酒粕がお好きな方が多く、温めてお砂糖をかけて食べるようです。
なんと、酒粕を入れ溶いた、糟湯酒(かすゆざけ)というものが『万葉集』にもでてくるほど昔からなじみがあったようです。
そのおなじみの粕汁は、酒粕を加えた汁で塩蔵した魚と野菜を煮込む具だくさんでコクのある汁もので、特に寒い時期に喜ばれます。
皆さんもご存知のように、材料は一般的に、塩シャケから塩ブリ、塩ニシンなどの頭やあらアラ、大根、人参、里芋、こんにゃく、油揚げなどが用いられます。酒粕と魚の塩味だけで仕立てるほか、味噌を加える方法もあります。
酒粕はあらかじめ水かぬるま湯に浸して柔らかくしておくと使いやすいようです。

以前、NHKの「ためしてガッテン」でも「酒かすは《かす》》にあらず!?」として栄養価が高いことを取り上げられたこともあり、ダイエットや便秘改善にも有効だそうです。
体も温まって、おいしくて、さらに体質改善ができるなんて、まさに一石三鳥の食材ですね。
皆さんもこれからどんどん寒くなる冬を、粕汁で乗り越えてみませんか?

八重巻酒店のホームページはこちら

2014年1月10日金曜日

お燗に向いたお酒

日本酒の味や香りは、 400種類以上とも言われる香味成分の複雑多岐なバランスによってつくられています。
そのため、お酒のタイプによっても適温が違うとされるのですが、一概にはいえません。
例えば、吟醸タイプのお酒は冷やして飲むと美味しいというイメージがあるようですが、必ずしもそうではありません。
吟醸酒でも、10℃以下で1年以上熟成させれば、ぬるめの燗をつけてもフルーティーなリンゴ香が、少しも変わらないほど安定したお酒になるものもあります。
実際、純米吟醸酒などでぬる燗をすることをすすめている店もあるほどです。
ただ、フルーツ系のフレッシュな香りを楽しむのタイプのお酒は、温めるとアルコールが立ってしまい、味わいを悪くするものが多いので、吟醸酒や生酒などは、冷やで飲むのが無難ということのなるのです。
特に大吟醸酒に多い、フルーティでしかもシャープなタイプの酒は、冷やで飲むのに適しています。
また、人の味覚は低温では甘みをあまり感じなくなるので、酸味をより強く感じることになるのです。その分、吟醸酒ならではのフレッシュさを味わいやすいということでもあるのでしょう。
一般に、日本酒は温度を高くするほど舌触りがなめらかになり、甘味、酸味、苦味などのバランスが良くなって、より旨味を増すとされます。
ただしお燗にむいているのは、もともと甘みや酸味の強い濃醇タイプのお酒で、奥行きのある味でコクのしっかりとしたお酒質のものなら、常温でも旨味が際立ちます。
反対に、旨味成分の少ない淡麗タイプのお酒は、お燗をすると水っぽくなってしまい、アルコールが舌を刺激にするような傾向が強くなります。
本醸造酒が質の良い普通酒には、香味のバランスがとれていて、しかも安定しているものが比較的多く、その場合は、冷や、常温、燗のどの温度帯にもよく合うのです。
また熟成のすすんだ古酒の場合も、お燗にも冷やにも向くオールマイティータイプのものが多いようです。

美味しいお燗酒が飲みたくなった方はこちら

2014年1月9日木曜日

お寿司の原点

究極のスローフードである漬物。
その漬物の中でも異彩を放つのが「かぶら寿司」です。冬の北陸の伝統食で、寒いこの季節にしか食べることが出来ません。
かぶら寿司とは、塩漬けしておいたかぶら(カブ)の輪切りに寒ブリの身をはさみ、麹で漬け込み発酵させたなれずしの一種です。
石川県の郷土食としてよく知られており、富山県でも食されています。
富山県西部ではサバ、東部ではサケをはさみ、かぶらも石川県とは違う種類のものを使うため、味の違いが楽しめるのだそうです。
気温が低い時期にしか作らず、冬のごちそうとして地元の人たちに愛され、お正月料理としても親しまれているのです。身
が厚いカブのサクサクした食感と、上質のハムのような、脂がたっぷりのったブリのうまみ、そして麹の酸味が絶妙にマッチし、ご飯にも酒にも相性抜群です。
江戸時代には現在のものとほとんど変わらないかぶら寿しの記録があるのですが、その発祥は定かでないようです。
かつては高級品で武士階級しか食べられなかったブリを、町民がカブではさみ隠して食べたのが始まりという説や、深谷温泉(石川県金沢市)に湯治に来た前田藩主に提供された料理のひとつが起源とする説があるそうです。
古くは各家庭で漬けていましたが、現在では減少。
ほとんどが市販品となり、冬場なら容易に入手できるようになりました。日が経つにつれ発酵が進み、味が変わるので、早めに食べたほうがよいとされているようです。
「かぶら寿し」「大根寿し」とは、魚介の具とすし飯を合わせた一般的な「寿司」の原型とされております。
おつけもの「寿し」のルーツは、東南アジア山間部の淡水魚の保存方法が発祥とされる「なれずし」とされておりますが、「なれずし」とは、魚介類を主原料とし、ご飯を用いて乳酸発酵させた保存食品であります。
(「なれ」は「熟れ」と書きますが、発酵によって魚が熟成していくさまを表しております。)
発酵食品は体の免疫力を高めてくれます。
このかぶら寿司もそのひとつです。
免疫力を高めてこの冬を風邪しらずで乗り越えましょう!

八重巻酒店のホームページはこちら