2013年1月14日月曜日

発酵? 腐敗? 熟成?


それぞれの言葉の意味は何となく分かると思いますが、説明をするとなると難しい言葉ですよね。
発酵と腐敗は、どちらも微生物がかかわってきます。熟成は時間と空間がキーワードです。

発酵とは・・・
酵母菌(イースト)や乳酸菌が活躍し、糖分などを分解し、有機酸(リンゴ酸、クエン酸、酢酸や酒石酸など)、炭酸ガス等を生じる作用です。

腐敗とは・・・
主に有機物、特にタンパク質が細菌(バクテリア)によって分解され有毒な物質と悪臭を生じる変化です。

熟成とは・・・
様々な外的環境(温度、湿度、時間、空間等)により仕込んだものが、さらに旨味を増して、使える(飲める、食べる、【藍染め等の天然の染料も熟成が必要】等)状態になることを指します。

腐ったお酒というのも最近の醸造技術により少なくなりましたが、昔は、腐造(ふぞう)との戦いで、蔵の醸造責任者である杜氏(とうじ)は腐造になると自らの命を絶ったということも聞きます。酒蔵は、農家からその年のお米を現金で一括購入し、それを製品として販売するには一年以上の長い期間を必要としますので、杜氏の心情も並大抵ではないのです。
腐造は、先に述べた目に見えない細菌(バクテリア)の異常発生によるものなので、タンク一本のみダメになるのではなく、蔵の全部のタンクが既に危険である可能性が高いのです。
現在は、腐造に関する救済方法もあるので昔のようなことは少なくなりましたが、微生物に託す酒をはじめとする発酵と醸造の仕事は危険と背中合わせなのです。

なんだかんだと難しい説明になってしまいましたが、めちゃくちゃ簡単に言ってしまえば、細菌による食品の変質のうち、有益なものは「発酵」で有害なものは「腐敗」なのです。(早く言えよって思った方すいません)

最後に、どうでもいい事だとは思いますが、俗に言う「納豆は腐った食べ物」という言い方は間違いです。

2013年1月12日土曜日

茶色い印は・・・。


突然ですがみなさん、下のような丸い物体を見たことがありますか?

本来は酒蔵の軒先に毎年十一月頃から吊されるものなのですが、最近は(当店もなのですが)、地酒を扱っている酒屋にも吊されているようですね。

これは、「酒ばやし」もしくは、「杉玉」と呼ばれ、「新酒ができましたよ」という合図のために酒蔵の軒先に吊されるものです。

酒屋などに吊されているのは茶色い色をしたものが多いとは思うのですが、本来吊したてのものは緑色をしています。杉玉といわれるくらいですから、杉の葉っぱで作られているのです。

新酒のできた合図として軒先に吊された杉玉は、やがて緑色から茶色へと色を変えていきます。ただ単に杉の葉が枯れていくのですが、これは出来上がった新酒が熟成されていく様を表しているのだそうです。昔、酒通の方達は、この酒ばやしが茶色くなるのを見て、熟成の具合を計り、酒を買い求めたそうです。

子供達には、、不思議な物体のようで、何ともいえない表情で、眺める子もいます。中にはスズメバチの巣かと間違える(大きさはちょうどそれくらい)人もいるくらいです。

太い針がねを骨とした球体に、杉の葉をギュウギュウに詰め込んでいきます(葉っぱがちょうどくさびのように引っかかり、なかなか抜けにくい)。あとは刈り込みばさみで、不揃いの長さの杉の葉が刺さった酒ばやしを丸く整えてつくります。

酒蔵では毎年酒ばやしを作り直すのですが、うちの酒ばやしは茶色くなりっぱなし。ちょっと熟成が進みすぎかもしれませんねぇ。

2013年1月10日木曜日

くさいはうまい?


日本での発酵食品と同じように世界中にある珍しい発酵食品もその地方の気候風土にあった、伝統的なものが多いようです。
今回はその珍しいものの中から、さらに、三大臭料理と言われる、臭〜いものを紹介しましょう。

キビヤック (アラスカ カナダ)
アラスカやカナダの先住民族に伝わる伝統的な発酵食品。羽のついたままの海鳥をアザラシの中に詰めて地中に埋め、長期間乳酸発酵させる。
臭いは強烈ですが、野菜からビタミンが取れない先住民族にとって貴重なビタミン源なのだそうです。

ホンオフェ (韓国)
エイをつぼなどに入れて数日発酵させる韓国の郷土料理です。
刺身として食べるのですが、強烈なアンモニア臭がするので、涙を流しながらマッコリで流し込んで食べるのが通の楽しみ方とされるそうです。
シュールストレミングに対抗する、世界一臭い刺身と言われています。

シュールストレミング(スウェーデン)
ご存知の方も多いかと思いますが、世界一臭い食べ物と言われる、ニシンの塩漬けの缶詰です。その臭さはくさやの6倍以上とされています。
加熱殺菌処理をしていないため、缶の中でも発酵が進み、破裂の恐れがあることから、航空機内の持ち込みを禁じている航空会社がほとんどだそうです。

三大臭料理。
死ぬまでに一度は食べてみたいとはなかなか思えないですよねぇ。
機会があれば、シュールストレミングくらいなら・・・。
どんな臭いなんでしょうねぇ。