2014年2月10日月曜日

吟醸酒の誕生

皆さんもよくご存知の吟醸酒。
それまでの伝統的なお酒と全く異なったタイプの吟醸酒が登場したのは、大正時代の末ごろのことです。

それから短期間のうちに全国の酒蔵でこぞって造られるようになったのですが、その背景には2つの大きな要因がありました。
1つは、原料米を搗く(つく)精米機の改良です。
江戸時代後期に灘(兵庫県)で始められて以来、造り酒屋での精米は河川の水力を利用する水車精米に頼っていましたが、大正時代の末頃には電力による横型精米機に切り換えられていきました。
これが原料米の高い精白度が要求される吟醸酒づくりのきっかけになったのです。
ただ、横型精米機は水車精米に比べれば精米の効率を格段に高めたのですが、米と米をすり合わせる方式だったため精米歩合80%以上に精白するのは至難の業だったと言われています。

しかし昭和に入ってまもなく新型の竪型精米機が登場し、酒造りの技術革新は新たな段階に進むことになりました。竪型精米機とは、金剛ロールと呼ばれる研削砥石が回転しながら米の表層部分から順次削り取っていく仕組みの精米機で、精米方法の原理的転換を実現した画期的精米機でした。
もう1つの要因は、明治40年10月から隔年で開催された「全国清酒品評会」と、44年から現在まで毎年開催されている「全国新酒鑑評会」です。
これらの品評会や鑑評会で入賞するために全国の酒蔵はやっきになりました。
杜氏は原料米の品種を選んで米の精白度を高め、酒造法に工夫を凝らすなど、その時代の技術を駆使して競い合ったのです。
吟醸酒は、この品評会用の酒造りから生まれたお酒なのです。

ただ、当時の吟醸酒づくりではあくまで品評会で賞を取るための酒造りであり、また、味も香りもそれまでの日本酒とは全く異なったものであったため、市場に出回ることはほとんどなかったようです。

現在醸し出される綺麗で美味しい日本酒は、こういった技術革新や蔵人さんたちの大きな努力によって出来上がるようになったのです。

しぼりたての吟醸酒を楽しみたい方はこちら
(参考文献 日本酒百味百題)

2014年1月13日月曜日

ハレの日の飲み物

日本で酒造りが始まったのは、縄文時代以降~弥生時代にかけての事です。大陸から稲作が渡来した後、九州や近畿地方で行われていたと考えられています。
大和時代(4~6世紀)に、酒造りは徐々に国内に広まっていきました。奈良時代(710~794年)に現在の酒造りのもとになる醸造法が中国から伝わり、平安時代には色々なタイプの酒が造られるようになったようです。
しかしこの時代、酒は宗教的な儀式に用いられたり、慶事や祝い事(ハレの日)に飲む事がほとんどで、頻繁に庶民の口に入ることはありませんでした。
鎌倉時代になり、それまで朝廷の機関でしか行われていなかった酒造りが寺院・神社で行われるようになりました。
その当時、寺院には民衆からの年貢米が納められていました。更に酒造りに必要な湧き水・井戸水、広いスペースもあり、その上、寺社にはたくさんの労働力や明晰な頭脳を持った僧侶達がいました。
僧侶達はこのような酒造りに格好の条件を生かして醸造技術を磨いていたと考えられています。
当時、人々の生活に密接していた寺院・神社で酒が振舞われ、人々はハレの日以外にも酒を飲むようになりました。
江戸時代に入ると酒を造って売る酒屋が出現するようになりました。
各地に造り酒屋が登場したことで酒が商品として流通するようになり、一般庶民でも簡単に酒が手に入るようになりました。
人生の慶事に日本酒はなくてはならないものですが、それもそのはず、もともとお酒は御神酒というように、神にまつられたもので、やがて祭りのような儀式で人々に飲まれるようになったのです。
祭りというハレの場で日常の労働や束縛から開放され日本酒を飲むことで、特別の日を祝うとともに、また新たな明日への活力を生み出すようになっていったのです。

ハレの日の贈り物ならこんなお酒

2014年1月11日土曜日

かすであっても、カスではない?

酒粕は、もろみを圧搾して清酒を分離したときに残る固形物のことで単に粕ともいいます。
またきれいな板状になっているものは「板粕」、形の崩れたものは「バラ粕」とか「粉粕」と呼ばれます。一般に家庭用として出回っているものは板粕で、形よく取り出すのに手間がかかるため、バラ粕に比べて価格が高いようです。
酒粕は、もろみの中で溶けきれなかった米粒や米麹、酵母、それに清酒成分を含んでいるため、栄養価は高く、アルコール分も8パーセント程度あります。
そのまんま火あぶって食べたり、粕汁や速成の甘酒にも利用されます。お酒を飲めない人には、結構酒粕がお好きな方が多く、温めてお砂糖をかけて食べるようです。
なんと、酒粕を入れ溶いた、糟湯酒(かすゆざけ)というものが『万葉集』にもでてくるほど昔からなじみがあったようです。
そのおなじみの粕汁は、酒粕を加えた汁で塩蔵した魚と野菜を煮込む具だくさんでコクのある汁もので、特に寒い時期に喜ばれます。
皆さんもご存知のように、材料は一般的に、塩シャケから塩ブリ、塩ニシンなどの頭やあらアラ、大根、人参、里芋、こんにゃく、油揚げなどが用いられます。酒粕と魚の塩味だけで仕立てるほか、味噌を加える方法もあります。
酒粕はあらかじめ水かぬるま湯に浸して柔らかくしておくと使いやすいようです。

以前、NHKの「ためしてガッテン」でも「酒かすは《かす》》にあらず!?」として栄養価が高いことを取り上げられたこともあり、ダイエットや便秘改善にも有効だそうです。
体も温まって、おいしくて、さらに体質改善ができるなんて、まさに一石三鳥の食材ですね。
皆さんもこれからどんどん寒くなる冬を、粕汁で乗り越えてみませんか?

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2014年1月10日金曜日

お燗に向いたお酒

日本酒の味や香りは、 400種類以上とも言われる香味成分の複雑多岐なバランスによってつくられています。
そのため、お酒のタイプによっても適温が違うとされるのですが、一概にはいえません。
例えば、吟醸タイプのお酒は冷やして飲むと美味しいというイメージがあるようですが、必ずしもそうではありません。
吟醸酒でも、10℃以下で1年以上熟成させれば、ぬるめの燗をつけてもフルーティーなリンゴ香が、少しも変わらないほど安定したお酒になるものもあります。
実際、純米吟醸酒などでぬる燗をすることをすすめている店もあるほどです。
ただ、フルーツ系のフレッシュな香りを楽しむのタイプのお酒は、温めるとアルコールが立ってしまい、味わいを悪くするものが多いので、吟醸酒や生酒などは、冷やで飲むのが無難ということのなるのです。
特に大吟醸酒に多い、フルーティでしかもシャープなタイプの酒は、冷やで飲むのに適しています。
また、人の味覚は低温では甘みをあまり感じなくなるので、酸味をより強く感じることになるのです。その分、吟醸酒ならではのフレッシュさを味わいやすいということでもあるのでしょう。
一般に、日本酒は温度を高くするほど舌触りがなめらかになり、甘味、酸味、苦味などのバランスが良くなって、より旨味を増すとされます。
ただしお燗にむいているのは、もともと甘みや酸味の強い濃醇タイプのお酒で、奥行きのある味でコクのしっかりとしたお酒質のものなら、常温でも旨味が際立ちます。
反対に、旨味成分の少ない淡麗タイプのお酒は、お燗をすると水っぽくなってしまい、アルコールが舌を刺激にするような傾向が強くなります。
本醸造酒が質の良い普通酒には、香味のバランスがとれていて、しかも安定しているものが比較的多く、その場合は、冷や、常温、燗のどの温度帯にもよく合うのです。
また熟成のすすんだ古酒の場合も、お燗にも冷やにも向くオールマイティータイプのものが多いようです。

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2014年1月9日木曜日

お寿司の原点

究極のスローフードである漬物。
その漬物の中でも異彩を放つのが「かぶら寿司」です。冬の北陸の伝統食で、寒いこの季節にしか食べることが出来ません。
かぶら寿司とは、塩漬けしておいたかぶら(カブ)の輪切りに寒ブリの身をはさみ、麹で漬け込み発酵させたなれずしの一種です。
石川県の郷土食としてよく知られており、富山県でも食されています。
富山県西部ではサバ、東部ではサケをはさみ、かぶらも石川県とは違う種類のものを使うため、味の違いが楽しめるのだそうです。
気温が低い時期にしか作らず、冬のごちそうとして地元の人たちに愛され、お正月料理としても親しまれているのです。身
が厚いカブのサクサクした食感と、上質のハムのような、脂がたっぷりのったブリのうまみ、そして麹の酸味が絶妙にマッチし、ご飯にも酒にも相性抜群です。
江戸時代には現在のものとほとんど変わらないかぶら寿しの記録があるのですが、その発祥は定かでないようです。
かつては高級品で武士階級しか食べられなかったブリを、町民がカブではさみ隠して食べたのが始まりという説や、深谷温泉(石川県金沢市)に湯治に来た前田藩主に提供された料理のひとつが起源とする説があるそうです。
古くは各家庭で漬けていましたが、現在では減少。
ほとんどが市販品となり、冬場なら容易に入手できるようになりました。日が経つにつれ発酵が進み、味が変わるので、早めに食べたほうがよいとされているようです。
「かぶら寿し」「大根寿し」とは、魚介の具とすし飯を合わせた一般的な「寿司」の原型とされております。
おつけもの「寿し」のルーツは、東南アジア山間部の淡水魚の保存方法が発祥とされる「なれずし」とされておりますが、「なれずし」とは、魚介類を主原料とし、ご飯を用いて乳酸発酵させた保存食品であります。
(「なれ」は「熟れ」と書きますが、発酵によって魚が熟成していくさまを表しております。)
発酵食品は体の免疫力を高めてくれます。
このかぶら寿司もそのひとつです。
免疫力を高めてこの冬を風邪しらずで乗り越えましょう!

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2013年11月1日金曜日

コッソリと造られます。

般若湯という言葉を聞いたことはありますか?

般若湯というのは、お坊さんたち用いた酒の隠語です。
「般若」とは梵語(サンスクリット語)で、智慧とか真理という意味になります。
お坊さんは公然とお酒を飲むわけにはいかないため、意味ありげな隠語を使って世間の目をごまかしたのだそうです。
真言宗の総本山である高野山金剛峯寺で使われたのが最初という説もありますが、いつ頃から使われ始めたのかということも含めて、真偽のほどは不明なのだそうです。
いうまでもなく寺院の戒律は厳しく、本来、飲酒は御法度のはずであります。
禅寺の門脇にある戒壇石などには、「葷酒山門に入るを許さず」と刻まれています。
葷酒とは、ネギやニラなどの臭気のある野菜とお酒のことで、清浄な寺門の中に修行の妨げとなる葷酒を持ち込む事はもとより、それらを口にしたものが入ることも許さないという厳しい掟です。
ところが、実際には鎌倉から室町かけての中世、お酒は寺院と密接な関係にありました。武家政権の時代に入り、それまで宮廷中心だった酒造りの技術が民間に流出し始めるのですが、とりわけ寺院は、その後の酒造技術の発展に画期的役割を果たすことになるのです。
この時代に寺院で作られたお酒は「僧坊酒」と呼ばれていました。

僧坊酒はそれまでの一段仕込みから脱却して*二段仕込みの方法を編み出すといった、現代の日本酒にかなり近づいたものになったようです。

ワインやビールもそうなのですが、お坊さんや修道院の人たちが醸造に携わっているという事実は世界中で見受けられます。それを収入としていたという場合もあるようですが、アルコールに対する欲求?探究心?戒律が厳しいだけにその反動も大きかったのでしょうか?

 * 現在の酒造りでは「三段仕込み」という方法でお酒が造られます。三段仕込みとは、あらかじめ造っておいた酒母に、麹、水、蒸米をそれぞれ、初添え、仲添え、留添えと3回に分けて、だんだんに仕込み量を増やして仕込んでいく方法です。二段仕込みとはこの段仕込みの回数が2回であるという事になります。


般若湯は販売しておりませんが...
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2013年10月31日木曜日

今年の出来はいかに?

毎年11月の第三木曜日に解禁される、ボージョレ地方の新酒“ボージョレ・ヌーヴォー”は、フレッシュさを第一に考えられて、9月から10月の収穫後、1ヶ月ほどで造られ全世界へ出荷されます。
通常は、発酵・醸造が行われ翌年以降に飲まれるのですが、ボージョレ・ヌーヴォーは、“マセラシオン・カルボニック”と言う特殊な方法によって通常より早く市場にでてくるのです。
さらに、日付変更線の関係上本国フランスよりも早く楽しむことができるのです。解禁日が味覚の秋真っ只中ということも相まって、“ボージョレ・ヌーボー”は日本で人気を博しているのです。

ちなみに、これまでのボージョレ・ヌーヴォーの評価をならべてみました。

1995年:ここ数年で一番出来が良い
1996年:10年に1度の逸品
1997年:1976年以来の品質
1998年:10年に1度の当たり年
1999年:品質は昨年より良い
2000年:出来は上々で申し分の無い仕上がり
2001年:ここ10年で最高
2002年:過去10年で最高と言われた2001年を上回る出来栄え
2003年:100年に1度の出来
2004年:香りが強く中々の出来栄え
2005年:ここ数年で最高
2007年:柔らかく果実味が豊かで上質な味わい
2008年:豊かな果実味と程よい酸味が調和した味
2009年:50年に1度の出来
2010年:1950年以降最高の出来といわれた2009年と同等の出来
2011年:近年の当たり年である2009年に匹敵する出来
2012年:史上最悪の不作だが、ブドウの品質はよく熟すことができて健全

ボージョレ・プリムール レ・グリオットオススメです!
じっくりと見てみると、う〜ンと首を傾げてしまうようなコメントも多いのですが・・・。
さて今年の評価はいかがなものでしょうか?


※マセラシオン・カルボニック(Maceration Carbonique) 
早飲みのワインによく用いられる製法で、密閉されたタンクにブドウを破砕せずにそのままタンクいっぱいに詰め、ブドウの発酵により発生する炭酸ガス中に数日おく方法。 とてもフルーティーな香りと、飲みやすいフレッシュな味わいの赤ワインができあがります。